気体状の学校

 愛とは何か。哲学や宗教の話ではない。化学的に言うと愛は愛素という元素から構成され、元素記号はLを用いる。愛素は常にほかの元素との化合物として存在し、分子結合L2や、単原子Lの形では存在しない。したがって自然界において純愛を取り出すのは不可能とされており、化学者の間でもその存在自体についていまだに議論が交わされている。

 愛素を含む化合物として代表的なものが二酸化硫黄SO2とメタンCH4をある条件下で反応させた際、メタン中の水素原子H三つが愛素Lに変わることで得られるSCHO2Lである。無色無臭だが化合物中の愛素に敏感な人は甘酸っぱさを感じることもある。毒性は極めて強く、めまい、動悸、頬の火照り、不眠などを引き起こす。また、集中力の一時的な、顕著な低下も特徴の一つとして挙げられる。自然界で確認できる例として冬の朝、「寒いね」と言って笑って追い抜いていくあなたの白い息、夕日に染まる音楽室であなたを思いながら一人練習するアルトサックスの音色、今日で卒業のあなたに何も伝えることができなかった私のため息に含まれていることが分かっておりもうだめです。また会いたい。

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